「White Day」



「なんですか?これは?」
ニアは新しいロボットのリモコンをいじりながら、
俺が差し出した包みに興味なさそうに返事をする。
「なんだか、わかんねーからいいんだろ、開けてみろよ。」
今、おもちゃで忙しいのにとでも言いたげにリモコンを
置き、ニアは床の上でラッピングを開き出した。

いつもながら可愛くない態度だな…まあ、中身の意味を知れば
こいつでも感激するだろうが…
俺は椅子に腰掛けテーブルに肘をつきニアの様子をながめる、
彼は包みの中から白いパジャマを取り出し
両手でつまんで目の位置に掲げた。


「これ、私のでしょうか?どうも。
シルクですね…シルクは洗濯が大変なんですよ、
まあ私がするわけではないので関係ないですが。」

「どうもありがとうございます、メロ。」
と儀礼的に言うと、パラリとパジャマを床に落とし
また、リモコンに手を伸ばした。
「おい、それだけかよ!気に入らなかったのかよ、俺が選んでやった
ホ、ホワイトデーのプレゼントが!!」
「ホワイトデー?何でしょうかそれ?」
「お返しだよ…バレンタインの…お前が俺にチョコをよこしたじゃないか、
手作りのヤツ!
俺も日本に行った時知ったんだが、日本じゃ聖バレンタインの贈り物は
チョコが主流でお返しに3月14日にホワイトデーってのがあるって…。」

お前からのチョコがうれしくて俺は柄にもなく、死ぬほど恥ずかしい思いを
しながら、ラッピングはホワイトデー仕様で。
なんて店員に言ったんだぞ!この俺様が!
ニアは髪をくるくる指で巻きいぶかしげに考えているようだ。
「そういえば、レスター指揮官が先月、『なにも言わずに受け取ってくれ!
お返しなどいいから』と送ってきたチョコレートをメロにあげましたね…」
「レレ、レスターってお前の仕事仲間の…あのおっさんかよ!
あのチョコあいつのだったのか!!」
「はい、私は別にいらなかったのであげました、メロはチョコが好きですしね。」
俺は目の前が真っ暗になった。

「なんか、ハートにピンクのチョコ文字で『LOVE』だの『SWEET HEART』だの
書いてたのが可愛いケースに詰め合わせになってたぞ… きめえ…
あのゴツイおっさんの手作りチョコ俺は食べてたのかあ〜」
後生大事に一日一個づつ…
「ニア〜〜〜!!!殺す!」
「勝手に勘違いして逆恨みしないでください、
大体私が手作りチョコなんて作るわけないじゃないですか?
こんなに長いつきあいなのに、そんな基本的な人格も
把握出来てないなんて嘆かわしい人ですね、
恋人として悲しいですよ。
そもそもチョコレートを湯煎で溶かして固め直したものを
手作りと表現するにはいかがなものでしょう?
カカオを炒るところからはじめないと手作りとは言えないと私は思いま…」
こいつのウザい長話はうんざりだ!

俺だって家事なんて何ひとつしないニアが手作りなんておかしいと
思ったさ、でも…だから、うれしかったんじゃねえか!
こいつが初めて作ってくれたのかって…俺のためにって…
俺は敷物の上に転がったパジャマをひったくるように取り上げ、
なるべく綺麗に包み直した。
「?どうしたんですか、それ、私にくれたのですよね?」
「勘違いだったようだからな、返してもらう!」
「どうするんです。」
「マットにやるよ、大きめサイズ買ってきたから、あいつに丁度いい位だろう。」
「メロ、なぜそこにマットの名前が出てくるんですか!」
ニアは猫目で頬を不機嫌そうにふくらませて俺を睨んだ。
「あいつには日本に仕事に行った時、なにかと世話になったしな。
なんだよ、お前いらないんだろ!」

「ちゃんとありがとうございますと言ったじゃないですか!
メロあなた、マットはただの友達と言ったくせに怪しいです!
私と暮らしているくせに、浮気ものです。いいえ、淫獣ですよ。」
ニアの好き放題の物言いに
俺はついにキレてパジャマを投げつけ、
ニアの手からリモコンを払いのけ強引に押し倒した!
「ざけんな!恋人らしい事はなにもしないくせに、嫉妬は一人前かよ!
もう、我慢ならねえ、今日は無茶苦茶に犯してやる!」
俺は強引にパジャマの前を開ける、ボタンが引きちぎれ飛ぶ。
首筋に噛みつき、ズボンと下着の中に手を入れ、きつくニアを握り込んでやる。
思い切り乱暴にしてやった。
なのに体の下のニアの奴は…

「う……んメロ…ハア…ん。」

と、甘い声で鳴きやがる。
「おい、犯すっていってんだぞ、いい声だすんじゃねえよ!」
「…そんな、無理です…だって…アン。」
喘ぎながら俺の首に腕を回し、口びるを押しつけ熱く濡れた舌を入れてくる…
絡まる舌にからめとられそうになる自分をグッとこらえた。


こいつ…俺をなめてやがる、俺が自分を傷つけないと思いこんでるな。
俺は本気で腹がたってきた、こいつは昔からこうだ。
ニアとは同じ施設で育ったのだが、いつもパジャマでうずくまってるニアを
どこか悪いんだと思い、俺はおぶったり抱っこしたり、おもちゃを片づけて
やったり、俺の分のおやつをあげたり、なにかと世話を焼いてやった。
そのうち悪いのは体ではなく、性格だとわかる…
コイツは立ってるものは法王でも使う、究極のものぐさなだけだった!
それからはケンカばかりしてたのに、なぜか大人になってから
こうして一緒にフラットに住んでるし…なぜか深い仲になってるし…
全部ニアの陰謀の気がする…。

もうコイツの思い通りになってたまるか!
俺のいいなりに調教してやる!
俺はすがりつくニアから体を離し、床に転がった包装のリボンを
取り上げ、サイドボードに向かう。
棚でなにかを探っている俺をいぶかしそうに
「何やってるんですか?」
と訪ねるが、俺は無言で寝転がったままのニアの元に戻り
胸の当たりに馬のりになり押さえこんだ。
そしてニアの両手を上げ手首あたりでリボンでしばり
端をテーブルの足にくくりつける。
「メロ、一体…。ん…うっ!」
俺はすかさず、ニアのこうるさい口に持ってきた粘着テープを張り付けた。
これで、静かになるだろう。
ニアは体をよじるが俺はニアの下半身に回り込み押さえつけてやる、
パジャマのズボンと下着と靴下を一気にはぎとってやった。
頭をもたげて、ニアが睨み付けるのが、かえって俺を煽る。
俺の分身はすでに勃ちあがって革の衣服を押し破りそうだ、
「力では俺にかなわないだろ?俺の好きにさせてもらうぜ。」
俺はニアの足の間に体を割り込み、奴の裸の腰を持ち上げ、
棚から持ってきたワセリンでニアの入り口をほぐす。

犯すといいながらこんな事するから俺はなめられるんだろうか?
と言う気もするが、まあ…潤滑剤がないと俺も辛いしな…
指の抜き差しにニアは感じているのか、ニアの前の部分は少し
勃ちあがってきた。


いつもならその先端から根元まで丁寧に愛撫して快感を与えて
やるのだが、今日は無しだ。
俺はボトムの革ひもをほどき、おのが怒張を解放して
一気にニアの体に押しつけた!
「!!!」
口をふさがれたニアが響かない声を叫び、体を硬くする、
俺はかまわず熱く、きしむような壁をかきわけ
どんどん奥にすすんでいってやる!
俺は支配感と優越感ですっかり息があがり、夢中だった。
体内の俺はニアの前立腺を刺激し、いつもならニアにも
快感を与えるのだが、今の俺は強引すぎるようで
ニア自身は痛みからか、すでに萎えてしまっている。
だが、俺は愛撫もせず、ひたすら腰を揺すり、
前後に打ちつけ自分の悦楽に没頭する。
『ク… 気持ちいい…』
快感で体の末端が痙攣しそうだ!
しばられてうごめくニアの体はそれほど艶めかしい。
ついに俺の欲望が頂点に達すると、一気に引き抜き
たまりかねた熱い激情をニアの体と顔にぶちまけてやった!

息も絶え絶えに俺はニアを見下ろす、
銀の髪にもテープでふさがれた顔も体も俺の白にまみれている…
小生意気なこのガキには似合いのホワイトデーの
プレゼントじゃないか?俺はすっかり満足だった。

だが、次の瞬間ありえないものを発見した。

ニアの黒い瞳に涙がにじんでいる…


ありえない!!
ニアが泣くなんて!
ニアに泣かされた奴は数え切れないほど見たが…
こいつの涙なんて初めてだ…
俺が泣かせた…?

俺は動揺してしまい、たじろぎ、次に慌てて縛っていた
リボンをはずし、口のテープをはぎとった。
だが、ニアの体はだらりと力なく横たわったままだ…
俺はニアの腕をつかんで、中腰になって抱きおこしす。
「……ニア……痛かったのか?そんなに…

「服…汚れますよ…。」
俺は服を脱いでいなかったので、新品のレザーに
ニアに放った自分の体液がべっとりとついてしまった…
自業自得だ…

うつむいたままニアがつぶやく、
「痛みは…平気です。」
「じゃあ、なんで泣いてるんだよ。」
「…………
メロにこんな行為をさせるほど私はメロを追いつめた…
そんな自分が嫌になったんです…」
「ニア…」
「あなたの事なにもわかっていないのは私のほうですね…」


ニア…
俺は…無言で抱きしめて震えている唇にキスをした。
ガムテープの跡が残っているて胸が苦しい。
「悪いのは俺の方だ…すまない。」

ニアをバスルームに連れて行き、一緒にシャワーを浴びた
俺が汚した体を丁寧に洗ってやる。
シャンプーするのに、顔を上に上げさせ額も全開にする、
まだ目が少し赤い…

見つめ合いながら俺はシャワーの音で消えないよう
背をかがめニアの耳もとでささやく、
「許してくれるか?」
…今度はニアが背伸びをして俺の耳に唇を近づけ軽く噛む…


「優しくしてくれるなら…」
俺たちはシャワーの心地よい水滴を体に受けながら、
もう何百回目だかわからない仲直りのキスをした。

シャワーを済ませると大きなバスタオルに小さなニアの体をくるみ、
横抱きにして寝室に向かう。
ベッドの上でそのタオルの端と端を使って2人で髪のしずくを払った。
濡れた髪のニアはすっかりストレートヘアになって、これまた可愛い…
この前、髪を生乾きにして風邪をひいたっけ?
でも、今の俺達には、ドライヤーをかけてる余裕はないようだった。
早く、早くニアを抱きたい…ニアも同じ気持ちのはずだ。
「どういうふうにする?」
「…メロの顔が見えるのがいいです。」
ニアの要望に応え、今夜はごくオーソドックスなスタイルで愛し合う事にした。
キスをしたまま、ゆっくりニアをシーツに押し倒す。
折り重なったまま、俺は唇をゆっくり、首筋、胸、脇腹とずらしながら
愛撫していく。


生まれたままのニアの肢体は水蜜桃のようだ。
痩せているのに端々が曲線的で柔らかい印象をあたえ、
ふれてみると吸い付くようにみずみずしく、しなやかだ。
こんなに綺麗な体をニアが許すのは俺だけだ。
なのに俺は恋人らしい事なんてなにもしない
なんて言った、 馬鹿だ。
詫びもこめて、今夜はいつもより丹念に感じさせてやろう
俺の舌はニアの中央の繁みにたどりつくと
その中の果実を口に含み、なめあげる、
見る見るうちに、それは大きさと熱さを増していく…
「ん…あん…」
ニアが甘い声を漏らし出すと俺はいっそう激しく愛しまくった。


こいつの口をふさぐなんてどうかしてた、
こんなにも俺を奮い立たせるものなんかないのに…。

先端を甘噛みしたり、口先でくわえては引き抜くのを繰り返す
「ああ、や、やあ…メロ…うゥっっっ!」
ニアはあっけなく昇り詰める!
俺はそれを飲み干し、
内股やふくらはぎ、足の小指にもキスを続けた…
「ん…メロ…あん…早く、早く来てください…」
もう我慢できないとばかりにニアが俺をねだりだした…
俺もニアに触れているだけで、もうこぼれてしまいそうだったので、
ニアの足を開く。さっきの行為でそこはまだ濡れていたが、
痛みがないよう、また優しくワセリンを塗り
俺を受け入れる準備をととのえる。

ニアの息は荒く、前の部分は再び勃ちあがってひくついている…
「そんなに俺が欲しい?いい子にしてな、すぐやるから…。」
俺はゆっくりと下半身をニアに近づけ、
自身の先端からニアの中に入っていく。
先ほどの荒々しい行為を思い出させないよう、丁寧にうやうやしく
俺は進み、根元まで入り込み俺とニアの体は密着する、
つながったまま抱き合い少し体を揺する…
「あ  ハア………んメロ、メロ…ああん」
ニアはすっかり汗をかき快感にわななく声を上げ、
背中に爪をたててすがりつく。
だがその指は俺の体の傷をよけている…
俺がヤバイ橋を渡った時、ドジってつけた左上半身の傷だ。
いつもそうだった…ニアはちゃんと俺に優しく思いやってくれている…
気づかずに失わなくて良かった。
「ニア…好きだぞ、ニア!」


俺はニアの中で飛び跳ねたくなり、夢中で腰を動かす、

「あああ!メロ…アアン…いい…いいです、ハア、もっと、もっと
動いて!んん…激しくしてえ!」

ニアは感じまくり、真っ白な体は薔薇色に燃え立ち、
腰を使い、中の俺をぎゅうぎゅうに締め付ける。
俺たちは汗と熱い息で目の前が霞みそうに
なりながらも交わりつづける。
「ん…メロ…メロ…キスして…」
「ん…」
二人とも、もう息が絶え絶えなのに、
この上キスで口をふさいだら窒息してしまうかもしれない…
でも、ニアと全てをつなげたくて、
お互いの唇でお互いをふさぎ、舌を吸いあう。


意識がもうろうとした頃、俺たちは同時に昇りつめ、堰を切った
熱情が決壊し濁流となって流れ出し、天国に堕ちるような
感覚に身をゆだね…   果てた。


さすがの俺もしばらくはだるくて起きられず、ベッドでぼんやり浸っていた。
ニアは俺の腕枕でまだ意識が飛んでいるかのように、
うっとり薄目をあけ、唇を軽く開けたままにしている。
「良かったか?」
「はい…すごく…メロ…大好きですよ。」
ニアは俺の胸にすり寄ってくる。
「私がヤキモチを焼くのはあなただけです…」


「メロが欲しいなら、来年のバレンタインはチョコレート人形を
作りますよ、指人形の要領で出来るでしょうし。」
俺はニアの言葉がうれしかった、あのニアが俺の要望に
答えようとしてる…
腕をニアの体に回し抱きかかえて銀の髪に口づけをする。
だが、照れくさいので、つい、いつものように
憎まれ口を叩いてしまう。
「来年まで一緒に暮らしてたら、もらってやるよ。」
「素直じゃないですね、一緒ですよ、決まってます。」
ニアは俺の裸の胸にその柔らかな唇でキスをする。
俺はうれしくてたまらなく、にやけそうになる顔を
必死に押さえた。

ふと、大事な事を思い出す!
「そうだ、ニア、これからは…レスターに会う時は
用心しろよ、無防備なパジャマはやめろ!
せめて中にTシャツ着ろよな!」
あの野郎に下心があるとわかった以上ほっておけねえ!
レスターは木訥としているように見えて、
特殊部隊出身のすごい経歴の持ち主らしい。
サシなら俺もかなわないだろう…
それにしても、ニアはほとんど籠もりきりなのに、
えらく強力な人脈や優秀なスタッフを抱えてるよなあ…
なんでだろ?
「レスター指揮官は信用できます…と、言いますか大丈夫ですよ
…彼は私のいいなりですから…」
ニアはニヤリと笑って俺の言葉を返す…。

あのおっさん…ニアの本性知っているんだろうか?…気の毒に…

「そういうメロこそ、浮気したら許しませんからね、
あ、パジャマは私がもらっていいんですよね。
マットにはロジャーからお礼のカードを送らせます、それでいいでしょう?  
ふァア…今日は激しかったから疲れましたね、
お休みなさい、メロ。」

ブランケットをたくしあげ、
ニアは満足そうな顔をして、すやすやと寝息を立てはじめた…

なんだか…また全部ニアの思い通りになってないか?
まさか、あの涙って…嘘泣き??
こいつまた新しいスキルを身につけたのか???

考えると、そら怖ろしいのでやめておくか…
「寝顔だけは天使だな…」
俺は隣で眠る白い恋人にキスをした。

HAPPY WHITE DAY !


END