「Never Land」
後編
古いバスタブは所々が欠け、白い陶器は灰色に変色しているが広さはそれなりだった。 そこに半ばまで湯をはり、ニアの胴体を俺の脚で挟むようなかたちで座り、後ろ手に抱 きかかえ体を洗ってやる。 壁からのびる銀色のシャワーヘッドからは霧のような心地よい温水が降り注ぎ、シャボ ンからはシトラスの香りが立ち込める。 昨夜からの惨状を思えば、さしずめ地獄から天国だろうが、憎たらしいレイプ犯の俺の腕 に抱かれているのだから、やっぱり地獄だろうか。 俺の態度の豹変に明らかにとまどっているニアだが、もう抗う体力はつきているようで、大 人しく、むしろ体を預けるようにもたれかかっている。 時折シャボンの泡が宙に舞い、はかなくはぜる様を目で追うのだった。 「気持ちいいかニア?」 「…最悪よりは…」 髪の毛からしずくをたらす首筋にこげ茶色の斑点を見つけた。 「お前の血、こんなところにまでついてるぞ。まあ、ゆうべは裏も表も逆さまもなかったからな。」 舌でそれをぬぐい、そのままキュウと音を立てついばむ。 ニアはその感触に身震いをおこしたが嫌悪感ではないらしい。 湯につかっても青ざめていたニアの身体が急に薄桃色につつまれた。 そのあからさまな変化が面白くて俺はニアを抱きかかえたまま、その肩に顔をうずめ金色の髪をこすりつける。 「メ…メロ?…」 ニアの困惑をよそに俺は一瞬、その生暖かいぬるま湯と肌に浸った シャワーからこぼれる幽かな水音と俺達の体を揺らすバスタブの波紋の響きを聞いていると 世界はそれだけで構築されているようだ。 本当にそうだったらいいのに。 ニアはなすがままに、すみずみまで身体を洗わせた。 いい加減ふやける頃あいに、壁のバスローブをもぎとりニアを包み、抱きかかえ。 寝室兼居間に向かう、腕の中の白い物体が声もなく固まった。 無理もないこいつにとってはここは惨劇の舞台だからな。 ニアを椅子に置くように座らせ、効かない空調はあきらめ格子の窓をフルオープンする、驚いたことに日差しの明るさに比べ空気は乾いていた。 涼やかな風がまちこがれたようにカーテンをたなびかせ部屋に舞いこむ。 「もう夏も終わりなんだな…。」 つぶやきながら、汚れたシーツをベッドマットからはがし新品のものを両端をつかみ宙に放り投げる。 風が味方をし、巧い具合にシーツは広がりベッドに舞い降り、新しい白い平原を作りだした。 ニアは俺の態度をいぶかりながらも上に下に布の舞いをその黒い目でおった。 猫みたいだ、口には出さず俺は思う。 ベッドの横に落ちていた上掛けをひろうと、その下からパジャマのズボンがあらわれた。 つまみあげると片方のポケットが重さで垂れ下がる。携帯電話だ。 夕べの俺は野獣と化していたから脱がした時には気がつかなかった。 俺は振り向いてニアを見る、特に反応はない…。 こいつと外界を結んでいる命綱を俺に握られているのに、妙だな。 「昨日から一度も鳴らないな、向こうから連絡はできないわけか。 そういやLもそうだったな…お前が死んだ時だけロジャーに通達されるのか?」 「試す気ですか?」 「試したところで正解を知る事は出来ない、無意味な事に時間はさかない。」 強く言い切りながら、携帯はサイドボードに投げるように置き、大股で近寄る俺にニアは椅子に座りつつも身構える。 かまわずバスローブをひっつかみ髪の毛をかき回した。 「すぐ乾くな…お前の髪…」 銀色の細い髪のしずくはほどなくふき取られた。 ローブはそのままうっちゃり、小さなクローゼットを漁る。 我ながらレザーの衣装ばかりだ、一枚だけプレーンなTシャツが出てきて、それをニアにほうり投げる。 「着ろよ、風邪ひくぞ」 大きめなので寝間着として十分だろう、俺は自分も革のパンツをまとうと椅子からニアを持ち上げる、いわゆるお姫様抱っこというやつだ。 そして体を反転させベッドにニアを降ろす。 「寝ろよ、疲れているだろう?」 「…?なにを企んでいるのです…メロ?」 「そんな事、どうでもいいだろう。」 まったく生意気な口だ、ふさがなきゃならん。 俺は台所にとって返すとキャビネットを漁り、飲みかけのペットボトルから水を含み、ベッドに横たわりながらも従順にならないニアの体に覆いかぶさり舌で歯を割った。 ごくり と、音がして口うつしは成功したようだ。 「何…何か飲ませましたね。」 喉を押さえながらニアがにらむ、 「安心しろ、アスピリンだ、腫れも引くし興奮がおさまって眠れるだろう?」 「気味が悪い…まるで…看病みたいな事するなんて…」 そう毒づきながらも、湯あみの後の気だるさと清潔なシーツの魔力でニアの体はベッドのくぼみに沈んでいくのを止められない…ゆるゆると瞼も落ち、爽やかな風を受けながら夢の国に旅立ったようだ。 さあ、俺は目が覚めるのを待つとするか…、窓辺に腰をかけ、眠るニアを見つめる。 唇は閉じるのを忘れたらしく半開きで甘い寝息を立て始めた。 触れた時の柔らかい感触を思い出し、ああ、あの口うつし…。 あれは俺達の初めてのキスなんだな…とセピアになりかけた部屋の隅でぼんやりと思った。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ワイミーズハウス時代、夜の闇の中1人眠らず机にかじりついていた、ニアに勝ちたい一心で傍目には必死に見えただろうが、大勢の人間との共同生活中、唯一1人になれる時間だったので、俺自身はなかなか楽しんでいた。 視界の利かない暗闇は何か別の果てしない世界と繋がっているような幻想をおこさせる。 それを怖いと思うか魅惑的に思うかは人それぞれなのだろう。 俺は後者だった。夢中で勉強にいそしみ、夜半、伸びをしてチョコレートを齧りながら窓をあけてイギリスの夜の空気を吸い込むと、星空からピーターパンが飛んできそうな空想が降ってきた。 10歳も越えてお伽話もないものだが、どこかでピーターパンとLを重ねていたのだと思う。 俺が入所した頃にはLはもうワイミーズハウスを出ていたが、代々伝えられる噂でLは痩せた風変わりな少年だったらしい。 俺より10歳は年長のようなので、もう青年なのだろうが俺のイメージの中ではLは手足の長い少年のままで世界の権力者を翻弄し、自由気ままに生きているネバーランドの住人だったのだ。 「僕もいつか、そこに行く!Lの住む場所へ!」その熱い想いは体中を駆け巡り、情熱がたぎる、そして俺はまた張り切って机に向い夜が白むまでページを繰る続けるのだった。 『ニアはLになった、だからネバーランドに行ってしまい子供の姿のままなのだろうか。』 12時を回りまだ目を覚まさないニアをベッドに腰掛け見つめる。 意外と寝相は悪いようで上掛けをはねのけ、Tシャツの下から白い素足が覗く、いい色つやだ…。 「充分な休息でそろそろ回復した頃だろう」 俺は計画の第二段階に移ることにした。 ベッドの上にひざ立ちで乗りニアの体を両足ではさみ見下ろした… 敵地にいるとは思えない安らかな寝息だ。 「そうしていられるのも今のうちだな」 俺は上半身を曲げ、こうべを垂れる、切りそろえた内巻きの金髪がニアの下半身を覆うのが自分にも見える、そしてそのまま…。 「ん…ん!!・・?!」 外からの刺激、そして内部からの湧き上がる何かに押されたようでニアが目を覚ました。 薄明かりはつけていたので自分の股ぐらに人の顔があるのを直視して、さすがのニアも恥ずかしかったのだろう、頭を振り長いくせ毛の前髪で目を隠した。 「メ…メロなに…あ…!」 意識のない人間の相手はつまらない。 目を覚ましたところで俺の舌は猛烈に追い上げニア自身を舐めまわし、甘噛みし、吸いあげる、淫猥な音が夜に響く。 「ん、んーーー!や、あ…!」 「イイみたいだな、ニア」口を離し問いかける。 「さ、最悪ですよ…!」 「そうか?こっちのほうは喜んでるみたいだぞ、ほら大きくなって…」 そそりたってきたそれを手の平に包み指で撫で、こすりあげる。 すでに先端にはしずくが漏れかかっている… 「ちゃんと成長しているんだな、安心したよ」 「馬鹿…は、離して、離して…あ…」 「遠慮するなよ、吐き出しな、気持いいぞ。昨日は痛さで萎えっぱなしだったろう?今日こそ大人にしてやるよ」 「うるさい!!は…離して、あ…」すでに息があがっている。 ペースは完全にこちらのものだった。 俺は再びニアに喰いつき軽やかにむさぼる。 口を開けば喘ぎがもれてしまうのに気がついたニアは懸命に歯を食いしばっているが、初めての刺激に身体はなすすべもなく反応しまくり、顔も体も赤く火照ってきている。 爆発は目の前だ。 「ニア強情張るなよ、声だしていいんだぞ」 くっ と悔し紛れの嗚咽が漏れたが、それでもまだ唇を結んでいる。 相当の負けず嫌いだな、だが俺もその点に関してはニア以上の自信がある、緩急をつけての攻撃から一気に攻め落とす事にした! 必ず口を開かせてやる。 口に含んでいたニアを少しだけ歯で刺激して取り出し、赤く震えている先端にいとおしむようにキスをして吸いあげると、ついにニアの城は崩落した。身体がぶるぶると震える、それでも声は上がらない。 …だが… 「……!?…メロ何を!!!!や、やめて!ダメです!飲まないで!!」 ニアからどくどくと流れ出る精を口に含み飲み込むと血相をかえてわめく、だがお構いなしに俺は喉を鳴らした。 「嫌!やめて、あり得ない…この、変態…あ、…ああああーあ、あん…ああアン…」 ついに口を開いてしまい、その後は止まらない。 泣きそうな声が嬌声に発展し俺が最後の一滴をしゃぶりとるまで続くのだった。 俺の上機嫌は回復した。なにせこいつは犬以下と愚弄した相手に腰を振ってよがりまくったんだからな。 このくそガキにやっと性の奥深さと恥ずかしさを知らしめてやれた。 人間というのは不思議なもので快感を追い求めるくせに感じることに恥辱と罪悪感を覚えてしまうのだ。 顔を枕に押し付け隠している、赤くなっているのが自分でもわかるのだろう。 俺は並んで横になり肩をゆすって横向きに顔を持ち上げる。 「なんだよ、顔見せろよ。セックスなんかとるに足らないもんなんだろ? いつもみたいに睨んでみろよ、それにしてもいい声だったぜ」 「や…」 閉ざされていると思ったニアの瞳は見開いていた。しかし、いつもの不遜さはどこへやらで赤く潤んでいて今にも涙になって溢れそうになっている… このニアが…ニアのくせに…。 ゆうべの欲情とはまた違う何かが俺の胸から湧いてくる。 それは無意識に俺を誘発し気がつけば、ニアのくちびるにキスの雨を降らせていた。 「ン…や、汚い…。」 「ずいぶんな言い様だな」 「だって…さっき、その口で私のを…」 「自分のなんだ、汚くねえだろ!」 俺はまたニアの中に割って入り舌と舌を絡ませる、ニアと俺の舌はどちらも熱く途中で混ざり、どこからが自分なのかわからなくなりそうだ。 息があがる寸前にようやく唇を離してやる。 「苦い…」 「そう、苦いんだよ。知らなかったろ?またひとつ賢くなったな」 嘲り半分で放った言葉だが、ニアは少し困ったように無い眉をひそめ…だが笑った。 子供の頃から変わってないニア独特の微笑だ。 ……その顔を見ていると俺も脱力感が降ってきた、なにもかも放りだして眠りたい気分だ。 ニアの上半身のシャツが無粋におもえ、たくしあげ剥ぎとろうとしたらTシャツをつかみ抵抗する。 「ま…また……する気ですか?」 「寝るだけだ、なんだ?まだし足りないのか?」 「違いますよ…!寝るなら裸になる必要はないでしょう…?」 「ケチケチするなよ今さら、ベッドはひとつで二人で寝るんだから暑っ苦しい格好はするな!」 ニアは首元で抑えたシャツから顔を覗かせる。 「いいですよ、脱いでも…でも交換条件があります」 おいおい半監禁状態でも対等のつもりかよ?いいだろう、なんだ?と問いかける。 「口、ゆすがしてください」苦い薬を飲んだ子供のような顔をして舌をつきだす。 今度は俺のほうが苦笑した。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 世が明けぬうちに猛烈な欲望に襲われ目が覚める。 性欲ではなく食欲だ。考えてみれば2日ほどロクに食べていない。 起き上がろうかと思うと思わぬ障害にぶつかった。 ニアが胸に顔を埋め胴に腕を巻きつけている…抱きついているというべきか? 窓は閉めたものの明け方の空気は寒かったようだ。 きめの細かい素肌の感触が気持ち良い、これも色気のないTシャツを駆逐した戦利品だな。 だが、今は空腹で貧血寸前だ。食事の方を優先しよう。 「おい、離せよ」 ニアはどうやら起きているらしい、むしろ腕に力をこめる。 俺は湯たんぽ代りかよ?なんだかくすぐったいような気持ちになる…それを追い払うため、すがりつく銀の頭をひきはがした。 「起きろよ、メシにするぞ」 俺はキッチンに急ぎ、ベーグルにチーズ、トマトやスープの缶詰を温めたものをトレーに盛って寝室に戻ると、ニアは自前のパジャマに着替え、ベッドにちょこんと座り食糧をわくわくとした目つきで見つめている。 「てめー、起きてるなら手伝えよ!」 俺の怒りなど、どこふく風で「おいしそうですね」と悪びれず言う。 椅子は一つしかないのでベッドに食べ物を並べ早朝のピクニックとあいなった。 久々のまともな食糧に体は歓喜に包まれ、しばらくは二人無言で食べ続ける、ニアがカラのマグカップを突き出し「おかわりください」とスープをねだる。 「甘ったれんな鍋にあるから自分でとってこい!」厳しく怒鳴ると小走りにキッチンに向かった。 俺は少々あっけにとられた、ニアがこんなに食べるのも機敏なのも見るのは初めてだ。 奴にとって今まで食事は器にエネルギーをチャージするだけの作業に過ぎなかったのかも知れないな。 今回の事で初めて飢餓感や食べ物のおいしさを知ったのかもしれない。 なんだかニアの人格形成に役に立っているような気がしてきた。 『なんだってんだ、何をやってるんだ俺は?』 俺はニアをもっともっと嗜虐するつもりだったのに、あいつに辱めという名のトラウマを刻みつけたかったのに。 ベッドヘッドにもたれ釈然としない思いを味わっている最中、ニアは鍋のスープを味わい、ご満悦な顔つきで戻ってきた。 あの様子では俺の分など残ってないな…まったく。 腹いっぱいになったらしいニアはベッドの上に残っていた皿やトレーを片付け再びベッドに横になった。 もはや俺など恐れていない表情だ。 そう好き勝手させるか! 「!!!!ん…ん」 ニアを振動と重量が襲う。 俺がベッドに押しつぶしているのだ。 すかさずニアの首筋をねぶる…! 「食事代のかわりに俺にもしてくれよ」 俺は下半身をニアのふとももに押し付けゆすった… たっぷりの時間をおいたおかげか、すぐ固く膨れ上がる…。 その硬さと圧迫感で俺の要求の意味を理解したようだ。 「昨日、あなたがした行為を私にしろと言うんですか…?嫌です…無理ですよ」 抑え込まれながら激しく拒否をする。 「なぜだ汚いからかよ?」 「…だって無理です、私はあんな事うまくできませんよ、メロみたいには」 「お前初めてなのに、なんで上手いの、下手だのわかるんだよ?」 「それくらい想像できます…よ、メロは巧すぎました…どうして…?」 「野暮な事聞くな、さっさとやれ!巧いかどうかなんてお前が判断することじゃない、決めるのは俺だ。」 痴話喧嘩に終止符を打ち、押し倒した体を抱きかかえ反転した。 ニアは観念したようでしぶしぶと下にずりさがり、俺のレザーパンツに手をかける。 ジッパーではなく組ひも状のフロントだが、器用にほどき、俺を握った。 そして、ゆっくりと顔をさげる…ニアの舌よりも前髪のほうが先にあたり少しくすぐったい。 実際の所、自分のセックスが巧い下手なんて誰も知りようがない、相手の反応で伺うしかないが、その言葉や態度が真実だとどうしていえよう?相手が感じている快感の度合は自分では知る事が出来ない。 これはセックスに限ることではないな、そうすると人間は自分の事しかわからないのに。 その自分すら知ることはできず一生を終えるのだろうか? 俺が哲学的な思索をしている間に天才少年は俺のペニスの研究に余念がなく柔らかな指でつつみこみ、覗き込んで感心している。 「怪獣みたいです…」 「お前にだってついてるだろーが」 「でも自分の裏側なんて見ないじゃないですか」 手で弄ぶうち怪獣に愛着が湧いたのか、そっと舌を這わせ…慣れてくると飲み込んだ。 小さな口に俺のサイズは窮屈そうだが逆に俺の優越感はほころんだ。窓の外は爽やかな朝の光に満ちているのに、この部屋はいやらしい音が響いている。その水音に俺の荒い息も加わりだした。 悔しいがニアはこの方面でも才能があるようだ……巧い…! 「ん…ニアいい…ぞ」 俺のストレートなほめ言葉にやる気をだしたのか、ニアは腰をふって俺をしゃぶりあげた。 四つん這いのその姿はみだらとかあさましいというより小動物だ。 さっきは猫のようだったが、今は白い子犬だな。なかなか愛らしい。 視覚でも楽しんだ俺はもう限界寸前にまで昂ぶる…。 そこでニアが口を離した。おいおい冗談じゃない! 「なんだよ、いい時に…!」 「…の、飲むのは嫌です、飲まなくていいですよね…」 子供だな、苦いのは嫌いだって訳か。 「いいだろう、そのかわり手でしごけよ」 「品のない言い方しないでください、メロ」 顔を赤らめながら、そのまま俺を握り懸命に上下運動を繰り返す。こんな時でも、お高くとまっているこいつに少しお仕置きをせねばなるまい。 「ハア…ニアもういいぞ、手を離せ…」 肘をついて上半身を起こし、俺は右手で怒張した自分のペニスをニアの手から受け取った。 ニアは任務から解放されホッしたように顔も体も後ろに引こうとする… そうはさせるか!!!! 俺の左手はニアの頭をひっつかみ押さえつけ、そして! 勢いよく射精し顔に白濁をぶちまけた! 「ブハっ!!!」 ニアは頭を思いっきりふって逃げようとするが、誰が逃がすか! 俺の興奮はさらに高まり、我ながら驚くほど長い間、放出され飛沫をふりまきニアを汚し続けるのだった。 「ぷはア……この、サディスト!」 目に入った精液が痛かったようで、目を腫らしながら俺を非難しニアはベッドから離れようとするが逃さない! 「シャワー浴びるのか?まだ早いだろう?自分のも始末してからにしろよ?」 首ねっこをつかみ顔をシーツに押し付けながら膝立ちで浮いた腰の前方を握りこむ。 思った通りニアのモノも俺を舐めていた間に勃ちあがっている。 敏感になっているそこは外からの刺激に従順に反応し、それは喘ぎ声になって外に零れる。 「あ…あ…はん…ん」 「いい声で鳴くようになったよなあ」 ズボンをずりさげ手をのばし熱くなっている塊をつかむ、そして素早くリズミカルにすりあげた。 もうニアは抵抗などしなかった、俺の精液でべとべとにへばりついた前髪の隙間から荒い息を吐き、俺の手のひらに全神経を集中している。 「あ、あ…嗚呼ああ…ん、ん…んああん!!!!」 ニアは俺が赤面するくらい甘い声を出し朝っぱらから昇天するのだった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ それからの半日はシャワーを浴び、ひと眠りし、小腹がすいたら残りの食べ物やクラッカーを齧り、またセックスをする、の繰り返しだった。 ニアは勝手に俺の歯ブラシを使う、注意すると。 「今さら、何言ってるんですか?もう私もあなたも同じじゃないですか」と軽く笑う。 そうか、もう同じものなのか、俺も可笑しくなって笑った。 今日も快晴で風通しは良いが昨日より蒸し暑いようだ。 ニアはどうせすぐ脱ぐのだからか、パジャマの下を放棄し上着と靴下だけでベッドにうつぶせに寝そべり退屈なTVを観ている。 俺はといえば、溶けかけたチョコを舐めながらニアのぶらつかせている素足の動きを眺める午後だった。 なんたる無生産。 なんたる自堕落。 まるで無職のなれあい同棲カップルだ、こんな緩慢な時間は俺の人生で初めてだ。あえて言うなら、ワイミーズ時代、試験が終わった後の空虚と安堵の時間に似ているかもしれない。 サイドボードのニアの携帯は相変わらず放られている、 ニアは帰る気がないのだろうか?この気だるさのぬるま湯に浸かっていると、俺たちは何年も前からこの部屋で暮らし、そしてこの後もずっとここで溶け合っていくような奇妙な錯覚にとらわれそうだ。 TVでチョコレート人形のCMがかかった、それが気になったのかニアは前のめりになって見ている。 こいつはいい年して、まだ玩具に夢中なのか? 呆れる俺をよそに、ニアはそわそわしだしキッチンに向かう… 戻ってきたニアの口には冷蔵庫で冷やされた板チョコがくわえられていた。 持ち主の俺がぬるいチョコ食べているというのに、この野郎! 「おい、ニアそれ僕のだ ………!」 思わず口を覆った、子供っぽい言葉を使ってしまった!マフィアの俺様ともあろうものが…! そして、憎たらしいニアはこうした失言を決して聞き逃したりしない。 丸い黒目がくるりと一回転する。 「メロ……昔のメロみたい…」 「くっだらねえ!」 阿呆みたいな時間を過ごしてしまったから一瞬幼児退行したんだ。 きっと。 ニアは俺のそむけた顔をじっと見つめ… そしてチョコを置いて語りだした。 「どうやって、あなたの居場所を知ったのか聞きましたよね…この建物は前々から入居者をチェックしていたのです。だって……。 似ているでしょう?ワイミーズハウスに」 怒りで青筋が立っているのが自分でもわかる、はらわたが煮えくりかえりそうだった。 自分自身の間抜けさに!!!! くだらねえ娑婆っ気が未だに消えてなくて、そのせいでライバルにあっさりアジトを突き止められたってのか! 髪の毛をかきむしりヒステリックな雄叫びをあげ、俯くしかなかった。 格好悪すぎる。 足元の床にぶかぶかの白い靴下が近寄るのが見える。 「今、来たらまた犯すぞ」 低い声で脅した、だがそれは音もなくさらに近づく。 ベッドに腰掛けている俺を包むようにニアの手が伸びた。 「いいですよ、しましょう?もう時間がありません」 いつの間にか黄昏が忍び寄っている。 そうか、もう終わりのはじまりか。 やはり永遠などないのだな。ニアと俺の間を空虚と沈黙が支配する…それを壊すためニアの腕をつかみベッドの上に無表情で引き寄せた。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 「ああ…ん…ああ…メロ……!………ん!!!!アッツーー」 薄暗闇の中、体中の愛撫に身をよじりながらニアは喘ぎ、乱れ咲く。 シーツをひっつかんだかと思うと俺の体に両足を絡め、腰をすりつける。 2日前まで何も知らないガキだったとは思えない貪欲さとテクニックだ。 そんなニアのペースに巻き込まれずリードを保つため俺も真剣だった。 汗をしたたらせ2晩のうちに攻略した、こいつのウイークポイントを舐めあげながら攻め立てる。 朝から何度も達しているのに、またニアは膨らんで解放の時を待ちわび、しずくをたらした。 「手でするか?口がいいか?」 「あ…待って下さい、メロ…その…」 桃色に上気したニアはほんの一瞬、沈黙し…そして。 「挿れないんですか?」と問う。 少し驚いた。 「いいのか、まだ傷は治ってないだろう。また血がでるぞ」 「遠慮していたのですか?それとも心配でしょうか?いいんです。私は…繋がりたいです、あなたと」 ニアのまっすぐな視線にとまどい、紅潮しているだろう俺の頬を隠すために頭を垂れ毛先で顔を隠した。 「俺の味が忘れられないのかよ、淫乱な奴!」 照れ隠しに汚い言葉をぶつけ、それとは反対に優しくキスをした。 口腔を味わいながらニアの滴りを指に絡め、それを秘所になすりつけ すこしずつ緩め、なじませる。 1本、2本と指を増やしていくうちニアは顔をゆがめた。 「やめとくか?」 「いいです!来てください」 求められる快感に俺のほうも準備万端だ。 一昼夜、挿入のおあずけを食っていた俺の怪獣は制御不可能な程やる気満々だった。 そろそろいいだろうか?ゆっくり指を抜き挿入しやすいよう体勢を変え 足を肩にかけてニアの腰を浮かせる。 そして片手にペニスを持ち照準を定めあてがう… 桃色に閉じられた、そこはすでに待ちわびてひくついているように見えた。 最初の日の暴行ではなく俺たちはこれから本当のセックスをするのだ… 高揚感に手が震えそうになる、だが、丁寧にニアの中に進んでいく。 ズズ… 二人の体が奏でる音にニアはああ!と嘆息をついた。そして俺を奥深くに導くよう力を抜き、全てをゆだねた。 根元までゆっくりと埋め込む、かってない達成感と恍惚が体の中心から隅ずみまで行きわたりそれだけで果てそうになった。 ニアの性器も同様に息もたえだえな呼吸とは裏腹に反り返って勃ちあがっている。 「あ…もうだめです…」 苦しそうにニアはつぶやく。 「何、言ってるんだ、これからだぞ」 俺はいきかけたニアを止めるために先をしばるように握りしめ、内部からの刺激を与えるため腰の律動を始める。 パイプベッドの軋みが少しずつ大きくなる。それに呼応し二人の興奮も高まる。 「あ、あああああ…はあ…」ニアの中で痛みとは違う何かが生まれつつあるのが全身の変化からわかる。 桃色はさらに紅く艶めき軽い痙攣が止まらない。 「いや…いやです…メロ」ニアが悲鳴をあげた。 「何言ってんだ、すげえ熱くて俺を咥えて離さねーぞ、お前の中。 いいんだろ?感じてるんだろ??!」 「嫌…変です、飲み込まれる…!!」 ニアは頭を振り乱し、見せた事のない動揺を露にした。 「怖いのか?自分でコントロールできない感覚なんて初めてなんだな?いいから全部手放しちまえ! ただ感じてみろ!」 「や、やあ…」 まるで赤ん坊のみたいだ…ニアのなかには、こんなニアもいるのか 俺が与える、あまりの快感に不安を覚え混乱をきたしている。 なんだかいとおしい気持ちになった。 「怖くない…俺にまかせろ。」 驚くほど優しい声を出してしまった。 それを耳にしたニアから体の緊張がほどけた、官能に抵抗することをやめ理性を捨て、自分の中の性と生命の密を味わう。 そこにたたみ掛けるように小刻みに腰を打つ。 浅く、深く…強く…さらに強く!! 「…メロ、メロ……一緒に…」 「ああ、二人一緒だ」 最後の楔を打ち込み突き上げ、俺は自分の限界と共に握りしめたニアも解放した、快楽の津波が怒涛のように押し寄せ、堰を切りあふれだす。 「は ああああーーーー!」 二人は声を挙げ、抗うことをせず、このうねりが果てるまで共に流されるのだった。 抜いた後もニアは俺を離そうとしない。首に腕を巻きつけ「メロ…メロ」と俺の名をつぶやく。 「ニア…ニア…」 思わず俺も返してしまう。 すがりつくニアを俺も抱きしめ額にキスをした。 かわいい…そんな科白をはきそうになり慌てて飲み込んだ。 疲れと人肌の暖かさで、また眠くなった……さっきの言葉を寝言でつぶやいてしまったら困るなと思いつつ、目の前の揺れる銀の髪からもれる寝息に合わせ俺もまどろみの中に堕ちていくのだった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 携帯電話を切る音で目が覚めた。 サイドテーブルの明かりをつけるとベッドの脇に白い影が見えるパジャマに身を包んだニアだ。 ゆっくりと振り返り俺を見る。 「帰るのか?」 「はい、0時きっかりに門の前に迎えが来ます」 肘をつき手のひらで頭を支えニアを見つめる… 「お前は、なぜここに来たんだ?」 俺をSPKに勧誘し配下に置くつもりなのかと思っていたが、そうではないのか? ニアはだまって間口に進み、また振り返った。 「さっき…自分でコントロールできない感覚は初めてだろうとおっしゃいましたが違いますよ。 今回ここを訪れたのは…そうした感情に突き動かされたからです。危険や損得抜きに」 「言ってる意味、わかんねえ」 「この秋から大きなうねりを迎えますよ、世界もキラ事件も。あなたも知っているから動いたのでしょう?」 「!…」 「だから、秋が来る前にあなたに会いたかった…今日が終わるまで一緒にいたかったのです。まさかここまで色々な事が起こるとは思いませんでしたけど……」 ニアは口の端をあげ微笑むと玄関に向かい姿を消す。 俺はベッドから飛び降り、足音を響かせニアを追った。 ドアから風と共同廊下の薄明かりが差し込みニアの半分を照らす。 半分の光、半分の闇。 「さよならは言いません、またすぐ会えるでしょう、メロ」 「ニア…何度も言うが俺はもうLもキラも関係な…」 「私はあなたの写真を持っています。」 ドアが閉まった。猛然と駆け寄り、後を追い廊下に飛び出したがニアの姿はすでに消えていた。 いったいどうなってんだ普段は歩くのさえ鈍間なくせに。 階段を降りる小さな音は遠ざかる… 古い建物の煤けた天井の梁はいつものように軋み、滅びの時を待っているようだった。 追いかけるのはやめた、そう、近いうちに俺はニアに再び会うだろう。 その時に俺を挑発した事を後悔させてやる! ドアからの風が寝室の窓に抜け、激しくカーテンを揺さぶる音を夜に響びかせた。 「もう、そろそろ秋だなあ」 窓を閉めながら夜空を仰いだ。 脳裏をピーターパンの幻影がよぎる、「ネバーランド」は「永遠の国」なのか「決して存在しない国」なのかどちらなのだろう? Lを夢見てライバルたちとぶつかり、泣き、笑っていたワイミーズハウスこそがネバーランドなのかもしれない、いや、この奇妙な3日間がそうなのか? 暴力・憎しみ・怠惰・執着…そして多分愛情。 ひしめく感情の全てが溶け合い融合した、儚いひととき。 「くだらない…」 目を閉じつぶやく。 過去の事などどうでもいい、俺が欲しいのは未来だけだ。 未来に「ありえない永遠」を手に入れてやろうじゃないか! 明日にはここを引きはらおう、いや、今すぐだ。明かりをつけ何気なく時計を見る。 そういえば、ニアは今日まで俺と過ごしたかったと言っていたっけ? 今日? デジタルの表示は 2009・8・24 を指している。 建物から離れていくエンジンの音が微かに聞こえると同時に日付は25日に変わった。 この日付けの意味もいつか、解かるのだろうか。 俺はしばらくニアと8月24日の意味に取り付かれていたが、パソコンの配線を引っこぬく作業に没頭しているうちに頭から振り払えた。 感情の切り替えができるのは良い気分だ、俺は鼻歌で賛美歌を歌う。 ただ、体に残ったニアの香りだけは簡単には追い払えず、首筋を惑いの指先になでられるような錯覚に襲われる… そんな晩夏の夜だった。 2009年の夏が暮れる。 END |
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8月24日にUPするべき内容ですよねえ…
9月になってしまい面目ないです。
「Near」の「N」からはじまる物語として「NEVER LAND」
というタイトルの話を書こうと冬くらいから思っていたのですが
皆さんご存じのようにマイケル・ジャクソン氏がお亡くなりになり
このタイトルを使う事をちょっと躊躇してしまいました…
もはや、「ネバーランド」というとピーターパンの国としてより
マイケルの私設遊園地として有名な位ですからね。
なんだか故人に申し訳ないような気分になったのですが、
検索すると他にもネバーランドという名のテーマパークやグループは
色々あるようで、気をまわしすぎる事もないかなと思うのと同時に、
検索のために打ち込んだスペルを眺めていると「NEVER LAND」は
「NATE RIVER」に字面が似ている事を発見!(笑)。
そのままのタイトルにいたしました。
誕生日SSには似つかわしくない苦さの残るお話になってしまい
ましたが、久々に原作の隙間を埋めるチャレンジが出来て楽しかった
です。それと同時に今年2009年は2部イヤーとして深い意味が
あることを実感。
デスノファンにとって楽しいだけでなく寂寥感もつきまとうだろう
この秋から冬ですが、リアルタイムで味わえる事を感謝しつつ
来年の1月28日を迎えたいですね。