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8月24日になってしまった、もう。 あれ以来,俺とニアはすれ違いが多く関係はギクシャクしたままだ、 俺は探偵業をはじめるにあたり下準備で毎日外出している、 今日もニアは俺が出かけるのを横目で確認していたが何もいわなかった。 ニアは今日が自分のバースデーだという事を忘れているんだろうか? それとも俺が覚えていない風な事に腹をたてて無視しているのか? 用事を済ませると俺は遅い昼食でも取るかとカフェに向かう、 途中、おもちゃ屋を通り過ぎる……。 中に入りかけたがやめた、あいつの今欲しいおもちゃを知らないし 的はずれなものを買っていったら、どうせまた冷笑してほっぽり出すに決まってる。 それより飯だメシ!クラブハウスサンドにチョコレートリキュールをかけて喰おう、 俺がすぐ折れるから、あいつがつけあがるんだよ! おもちゃ屋の横には花屋があった。 俺はいつのまにか花束を手に花屋を出てきた…… まあ、今日は誕生日だし…俺から歩み寄ってみるか… 俺の好きな赤い薔薇を買った、ニアの玩具の趣味も好きな花も知らない、 俺が知ってるのはあいつが俺のキスを好きな事だけ。 エレベーターをあがり部屋の鍵を回したが、ご丁寧に内鍵がかかっている、 不思議に思いつつもインターホンを鳴らすと、 直接ドアが半開きになる… ニアが隙間をふさぐよう、こっちを見ている 「なんだよ、早くあけ…」 その時、俺は部屋の奥に誰か他の人間がいる事に気が付いた、 かすかだが音が漏れる…。 「出かけたと思ったのに…。」 ニアが不満そうな声をあげる。 「今は入らないでください、メロ、レスターやリドナーがいるので…。」 なんだと!!! 「今日は私の誕生日なので…皆に来ていただいたのです。」 「彼らが帰るまで外にいてください、携帯に連絡しますから…。」 怒髪天というのはこういう事か!俺はもう怒りで目の前が真っ暗になったり真っ赤に なったりした。 ドアを閉めようとするニアの手を隙間からつかみねじりあげた。 ニアが軽い悲鳴をあげ、それに呼応するように奥からレスターらしき声がする 「なんでも、ありません…レスター。!、メロ…は、離して…」 「離して欲しかったらドアを開けろ!!」 俺の形相に恐れをなしたのかニアは震える片手でチェーンを外した、 俺は勢いよくニアをあいたドアから引きずり出す、 手に持っていた薔薇は飛び散って宙を舞い廊下に散乱した そんな事にはかまわず俺はニアを隅にある非常階段までひっぱっていった、 夏の昼下がりの外気はもうもうとしている、 俺は踊り場の低い壁にニアを押しつけた。 「どういうつもりだよ、ニア!!」 「暴力はやめてください、メロ。」 ニアは俺に肩をつかまれたが視線をそらして下を向いていある。 「俺をハブにしてお誕生日会かよ、ふざけやがって!」 「ひがまないでください…もう戻ります。メロは夜まで帰らないで…。」 俺をすり抜け部屋に帰ろうとするニアの背中を俺はつかみあげ 羽交い締めにした。 ここ何ヶ月かの堅気の職探しの日々や探偵になる決心や柄にもなく買った花束が 頭の中をめぐる… 全部ニアのためにと…ニアの喜ぶ顔を想像してた俺はなんてお目出度いバカ だったんだ…。 「痛いです!乱暴もの!」 ニアは足をばたつかせ抵抗するが俺の憤りを奮い立たせるだけだった、 俺は片手で胴をつかみ一方の手をパジャマの下に滑りこませた。 「!」 下着をわけ入り侵入する俺の手に反応する、俺はそれを間髪をいれず 撫で、そして梳いた。 「バカ…こんな所で…。」 ニアの動揺はかえって中心のボルテージを高め、あっという間にはりつめる、 真夏の熱気の中格闘する俺たちはもう汗まみれで 俺の手もぐっしょり濡れてきた、汗なのかニアの体液なのかもわからない、 乱暴に押さえつけるながらも片手の動きは絶やさない、速く、もっと速く! 「あ‥ん…ん!」 2週間ぶりの行為はニアをあっさりと爆発させ俺の手を汚した。 ニアは解放の痺れと羞恥心で俺の腕の中で力をなくし震えている、 「そういえば外では初めてだな、お気にめしたようだなニア。」 「最低…。」 振り向き銀色の髪のすきまから俺をにらみあげた、 だが、ニアはこれで俺の気が済んだとでも思っているのだろう、 動作に油断が見れる、 俺はニアを後ろ向きにてすりの壁に押しつける、 驚いているニアのパジャマのズボンを下着ごと はぎとり露わになった腰を俺のそばに引き寄せる、 「な!」 ニアは倒れないよう低い壁の上に手をおき、すがりついた。 俺は構わず、先ほどニアが解放した液体を彼の双丘の中に滑り込ませる、 指で奥まで。 突然の痛みにニアは声にならない悲鳴をあげたが、痛みよりこれからされる であろう行為に恐れをなしたようだ。 「嘘でしょう、メロ、まさか、ここで…!。」 うごめく指の動きでニアの声もうわずる 「やめて、お願い!」 今更、懇願しても無駄だ、 俺は怒りと興奮で皮ひもを押し破りそうだった怒張した自身を取り出し、 引き抜いた指のかわりにニアの体に突き立てた! 「!!!!!」 声を必死で押さえるニア、 俺は構わず体を進める、液体をかき分ける音をたて俺は熱い内部を喰らう。 ニアは必死で崩れ落ちないよう手すりにすがっている 俺はその顔の横から息を吹きかけた、 「ほらニア、レスターを呼べよ、見せつけてやろうぜ。」 「この…変態…。」 ニアはもう息もたえだえだった。 「人の事言えるのかよ!こんなによがってるくせに!!」 「違……!」 違わない、言葉とは裏腹に久々に俺に貫かれたニアの体は俺を欲しがっている 俺の味と快感を知りつくしているそこはすでに熱く脈打ち 奥まで埋め込まれるのを待ちこがれていた、 入ってきた俺を2度と離さないとばかりに締め上げ、腰を突き出しうごめく それに合わせて俺の律動も激しくなる、震えるほど気持ちがいい、 「ああ…ああ…はああ…。」 「いいんだろ?いいって言えよ!」 「いや…いやああ…。んん…あ…」 繰り返す俺の動きにニアはもう口先さえおぼつかず、 甘い甘い声に変貌し夏の空に向けて声を上げる、 もっともっと乱れさせてやる! 再び勃ちあがってきたニアを片手でつかみ強く、でも優しく撫でる 意表をつかれた軽やかな指づかいに、あっという間に先ばしりそうになったが 俺は先端を強くつかみ差し止める、 「苦し…許して…ああ……。」 「ダメだ!一緒にいくんだよ!!」 「ああ…メロ…。」 もう汗でぐしゃぐしゃになった俺たちの動きは完全に一つになり 世界がぐるぐると回る、 引いては突き、突いては引く、 体の動きは激しくなる一方なのに意識は今にも飛びそうだった、 俺は腰をひときわ大きく突き上げた、 電流のような快感が体の中心から脳天に突き抜け 周りの全てが消え去り俺たち2人だけで昇るつめる、 俺は果て、同時にニアも解放した。 『一緒だ、俺たちはいつも…。』 我に返り帰ってきた世界は夏の太陽が暴力的にさんざめいていた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 階段にうずくまりニアが肩をふるわせ泣いている。 「変態…最低です、メ…メロなんて嫌いです…!」 「うそ泣きはやめろ。」 「私の勝手です!」 『やはり、うそ泣きか…』 俺は身繕いをすませ、もう戻っていいぞとニアに告げる 「こんな…メロの匂いにまみれたまま戻れませんよ!」 ニアは顔を膝に沈めじれている。 俺もやりすぎたかと少し胸がチクリとする。 俺は無言でニアを抱き上げ、部屋に通じる廊下に向かった。 「やめてください!」 ニアが叫ぶがこのままここにいてもレスターが探しに来るだろう 俺はニアを抱えてドアを開けようとすると、案の定レスターの声がした。 「ニア?どうしたんだ!いつまでも戻ってこないから心配して…」 レスターはドアの向こうからニアだけでなく俺が入って来た事に意表をつかれ 言葉は続かなかった。 「ちょっと連れ出したら、足くじいたんだ…まったくこいつ運動不足だからな…」 俺はバスルームで足を冷やすとつぶやきレスターの横を通りすぎる ニアは情事で赤く火照ったままの顔を見られないよう俺の肩に顔を埋めた。 背後からの気配でもレスターが落胆しているのがわかる… 『ちょっと、気の毒だったかな…?』 俺はバスルームのドアをあけニアの服をひんむいた。 「ほら、特急でシャワー浴びろよ!」 ニアはまだぼんやりとしてたが、 急に目が覚めたように素早くシャワーに向かった。 冷たいシャワーを浴びいつも通りの白さを取り戻したニアに タオルと脱衣所にあった換えのパジャマを差し出す… 「ごめんな…」 ニアは下を向き黙って着替えている。 支度がすむと、やっと顔を上げ俺の目を見た、 その真っ黒な大きな目で。 「来てくださいメロ…。」 彼は俺をリビングに誘導した、そこにはレスターとグラマーのハルがいる。 だが…どこにも誕生パーティらしい気配はない。 「ニア、ちょうど終わった所です。」 「ありがとうございます、リドナー、メロこちらへ。」 ニアはリビングの横の部屋のドアをあけた、 普段ニアがおもちゃ置き場にしている場所だ…。 俺は息をのんだ、山積みだった玩具は全て片づけられており 壁一面にモニターが据え付けられ、パソコンとデスクが並ぶ スタイリッシュなその内装は事務室というより、いっぱしの司令室だ。 「どうしたんだよ、これいつの間に…」 配線を確かめてた黒スーツの男が立ちあがった。 「ジェバンニが半日でやってくれました。」 ジェバンニと呼ばれた色男はいつも額に汗をかいているのだが 今日は誇らしげな顔をしている。 ニアは背をむけたままつぶやく 「この部屋はメロへのプレゼントです。」 「はあ!?」 ニアはふりむき大きいパジャマのえりから少し顔をのぞかせて言った。 「ここを探偵事務所に使ってください。」 俺は言葉は頭に入っているのだが、しばらくその意味がわからなかった… まさか…ニアが俺のためにこんな事をしてくれるなんて、まったく思いも よらなかったから! 「うれしくないですか、メロ?」 俺は呆然としていた所を突っつかれた、 「いや、でも今日、誕生日なのはお前であって俺じゃないぞ。」 「私は誕生日は一年に一度、自分のしたい事をする日に決めているんです、 だからレスター達にも今日ばかりは無理を頼んでしまいました。 ありがとうございました、みなさん。」 俺を含めた4人は目も口も点になった… 1年に1日!!!??? 1年365日わがままと無理難題を人に押しつけているくせに…。 いや、だが…そんなニアが一番したい事…それが俺の門出に協力 することなのか…。 大事なおもちゃを捨ててまで… 俺がニアをみると、ニアはうっすらとその黒曜石の瞳を細めた… 2人きりだったら、間違いなく抱きしめて押し倒して噛みつくようにキスをしただろう、 しかし、こんなに人がいては、俺はつい、うれしさと真逆の悪態をついてしまう。 「だったらそういえよ、人が悪い!レスターやリドナーがいるから入るななんて言って…」 「サプライズプレゼントを演出したかったんですよ、 それにメロもレスターもお互い苦手じゃないですか?」 お前…そういう事を本人の前いうなんて…まったく…、 俺とレスターは同時に動揺した。 初めてこのおっさんと気があったよ……乾杯…! 「リドナーにはあまり会わせたくなかったんです、メロはリドナーに気がありますから…。」 「な、何!言ってんだニア!」 「だって、いつもリドナーのバストを見ているじゃないですか?」 ニアは口を突きだし三白眼で俺を見上げた、 それは…その…そこに山があれば登るように谷間があれば見るじゃねーか、 コイツ本当に締め上げたい! リドナーはうれしそうに微笑んでニアと俺に言った。 「どうも、ありがたくお気持ちを受け取っておきますわ、私もメロが好きですし…。」 『おお?』 「やんちゃな弟みたいで。」 ……上手くオチをつけたな…さすが年の功。 という言葉は平和のため飲み込んでおいた。 「では私たちはこれで…お2人で誕生日を楽しんでくださいね。」 3人は俺たちの横を通り過ぎ口々に祝福を述べた。 「おめでとうございます、ニア。」 「ありがとうございますジェバンニ。」 「おめでとうございます、ニア」 「ありがとうございますリドナー。」 「誕生日おめでとうニア。」 「ありがとうございます、レスター指揮官」 「君もしっかりやりたまえ…。」 レスターは少し振り向いて俺に告げた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 2人っきりになった部屋にはいくぶん和らいだ夕暮れ間近の陽光が差し込む 「ニア。」 「なんでしょう?」 「ありがとな。」 正面きって礼をいう俺はよほど意外だったのだろう、 ニアは床に座り込み、背を向け髪の毛をいじりだした。 「良かったです、おせっかいだったかと思いましたけどね…。」 「いや、ニアの気持ちがうれしい。」 普段言わないような言葉が次々に口をつく、なぜだろう、 1年に1度の誕生日だからだろうか? 調子の違う俺にとまどったようで、ニアは座ったばかりなのに 立ちあがり俺に背をむける、なんだよコイツ照れてるのか。 「薔薇…そうだ、薔薇を拾ってきましょう!」 俺はぱたぱたと玄関に向かう、いつの間にかリドナー達によって 薔薇は集められ洗面所の水に浸されていた、 だが乱闘のせいでたいぶ散りかかっている。 ニアは残念そうに濡れるのも構わず花束を抱きしめた。 「赤い薔薇、そんなに好きだったのか?」 「これは特別です…だってバースデープレゼントなのでしょう?メロから私への。」 俺は脊椎行動で痛い位にニアを抱き寄せていた、もうたまらない! ニアが可愛い、ニアが好きだ、愛している!、 「また買ってやるよ、なんでも…全部やるよ俺の全てをお前に!」 ニアの手から薔薇が落ち…俺たちは息が止まるような長い長いキスをした。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ まだ外は夕暮れを向かえたばかり、ベッドのシーツをオレンジ色に染める そして敷き詰められた赤い薔薇の花びら…その中に横たわる白い体… 王侯貴族より贅沢だ。 もうベッドに境界線はない、あるのは俺たちの体のアウトライン位だ それすら溶けあわせたくて熱く体を重ねる。 昼間とは反対にひたすら優しく… 「非道くして、悪かったな…」 「乱暴なの、慣れました…しょっちゅうですからね。」 「でもそこがいいんだろ?」 「もう…バカ…。」 俺がニアの首筋に舌をはわせるとニアの憎まれ口はとまり 甘い吐息が漏れてくる、先ほどの行為の謝罪のように俺は ひたすら顔を下げて、俺だけが知っているニアが悦ぶ場所、 ニアが感じる場所に丹念にキスを繰り返す。 薔薇の芳香はむせかえるようで俺たちの官能を甘美に刺激し感覚を高める、 触れあうだけで全身が総毛立つように感じる。 指も舌も髪の先まで神経を集中し俺はニアの全身を愛撫する 今日は特別な日だ、ニアが産まれた日… ニアが存在していなかったら俺はどうなっていたのだろう? どうしてハウスを出て一時期でもニアから離れていられたんだろう? こんなに、こんなに愛しい…俺の世界の全てだ! かってない程俺は燃えさかり背中も足の小指もニアの全てに 俺の情熱を擦りつける、水音と吐息が部屋中に響く… ニアの秘密の場所はもう熱くなって俺の指を深く深く欲しがっていた… ゆっくりと時間をかけるもりだったのに、 ニアはもうたまらないようだ、切ない声で俺を求める… 「メロ…早く、早く…来てください。」 「ひとつになりたいです、早く…メロ。」 今日はいつになく素直で可愛い… 俺はすでに痛いほど硬く張りつめている自分をニアにあてがい進み 体を重ねる、 「あ、あ、ああああ、・・・・んんあ、はあ、ああー・・・・!!!」 ニアは髪を振るわせベッドの上ではねあがり快感で白い体は打ち震えている、 俺たちの振動で赤い花びらも宙を舞う。 「あ、ああ、気持ちいい…気持ちいいです…メロ…!」 俺にしがみつきながらもニアは腰を使い快感を逃さないよう激しく動く。 「ニア…ニア…いい…最高だ。」 「ああ…メロ…好きです…ハア…ああ、メロ。」 知っている…。それが俺を何より強くしてくれる… 「ニア…ハア…俺も…俺もだ。」 汗にまみれ、 限界まで2人で激しく体を打ち合いながらも俺たちは語り合う。 「ダメです、ちゃんと言葉にだしてください!」 「す…好きだ…ニア。」 「もっと…もっとメロ…。」 「ああ、愛してるよ!お前だけだ!!」 俺は恥ずかしさでいっそう激しく突き上げる、ニアの声は悲鳴に近い、 「愛してます、愛してます、メロ!あなただけです!」 心臓と俺の先端が同時に脈を打つ、 俺たちはまた一緒に世界の果てに達した。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 窓の外から涼しげな月明かりが漏れている、 ニアは上半身だけパジャマをはおり 俺の腕枕でまどろんでいる…。 月の光で銀髪が透けて見えた。 こんな充足した夜は久しぶりだ…。 「メロ…」 疲れ切ってもう動けないくせにニアは何度もキスをせがんだ、 その桜桃色の柔らかいくちびるについばむようなキスをしてやる… それだけでニアはうれしくてたまらないと顔をほころばせる。 あんまり可愛いので 「愛してるニア。」 などと耳元で囁いてしまった、情事の最中でもないのに、 こんな言葉がでてくるなんて、やっぱり今日の俺はおかしい…。 壁の時計に目をやると、午前0時は目の前だった。 もうすぐ、この腕の小悪魔の誕生日が終わる、 終わってしまえば、またいつもの俺に戻り意地を張ってしまうかもしれない… 今しかない、俺はニアを抱き寄せ上半身を起こし向き合った。 「ニア…お前が事務所を用意してくれて、うれしかった、 お前は俺が探偵をやるのに反対だと思っていたから。」 「反対なんてしてませんよ、ただ意外に思っただけです、でも、あなたなら大丈夫ですよ。 子供の頃からの目標ですしね、頑張ってください。」 「俺、一人でか?」 「メロ?」 「俺、俺は…」 ええい!言ってしまえ。 「俺はお前と2人で探偵がやりたい、俺たち2人なら世界一の名探偵になれる!そうだろ?」 言えた…俺はガキの頃のこだわりやコンプレックスを今、完全に乗り越えられた。 月光を浴び心の中のなにかが浄化していく気がする… ちっぽけなプライドより、もっと大事なものが今、俺の腕の中にはあるのだ! ニアは最初呆然としてその後、目が潤んだ。 どうしたんだ?嘘泣きでもなくニアがこんな顔をするなんて。 「い、いいんですか…。」 ニアは震えている… 「私はずっと思ってました、2人で探偵をやりたいって…子供の頃から。 でも、メロは嫌がってハウスを出ていって…悲しかったです。」 ニアがそんな風に考えていたなんて… 「だから…メロが探偵をやると言い出した時はショックでした、 探偵が嫌なのではなく私と組むのが嫌だったのかと思って…。」 それなのに、俺のために、こんなプレゼントを考えてくれたのか… あの晩すぐにレスターと打ち合わせていたのは、これの事だろう。 「ニア、すまん。」 俺は過去のニアを傷つけた、自分の小ささが悔しかった。 「なぜ、謝るんですか、今、あなたは私を探偵のパートナーに選んでくれました。 最高の気分です。生涯で一番のバースデープレゼントですよ! ありがとうございます、メロ。」 「ニア…」 長い長い俺たちの回り道の終わりを告げる鐘の音が遠くの鐘楼から聞こえる… ワイミーズハウスの鐘の音を思い出す、俺たちを祝福するかのようだ。 ニアは本当に涙がでたのかもしれない…顔を下にむけて長い前髪で かくしてしまった。 俺はニアの顔がもっとみたいのに… 思えば8月24日にニアの喜ぶ顔が見たい、 そのためにこの数週間てんやわんやだった。 マットのいう通りになるのはしゃくだが、12時の鐘が鳴り終わるその前に… 「せっかくだから…人生のパートナーにもならないか?その…つまり。」 「結婚しよう!ニア。」 ニアの喜んだ顔… それはすぐには見られなかった。 なぜなら、俺のプロポーズが終わる前に、飛びついてきた ニアの白い肌と服で目の前はいっぱいになったから。 END |