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ニア…
突出した天才児で風変わりな子供…そんなニアのあどけない一面を知ってから。ニアの笑顔と輝く世界に触れてから、瞳に住み着いてしまったかのように瞼を閉じるとニアの面差しが浮かぶ…。
簡易な天蓋を見つめながらベッドに横たわる深夜…
俺は昼間たてた仮説の正解は3番な気がした。
『3・メロはニアが嫌い。』
メロは成績で負けているニアを性的に組み敷き支配する事で優越感とプライドを保っているのではないか?ニアは大人しいし、変な話だがセックスしても妊娠しないし…欲望をぶちまける相手として都合がいい…それに、かなり可愛い…。ニアは腕力や強引さでメロに押し流されているだけじゃないのだろうか?
二人は恋人でもなんでもないのではないか?
メロの態度は恋人のものとは言えない、傲慢で自分勝手であんまりだ。ベッドでのニアはセックスを強要されているようには思えないが、ニアはまだ幼い、家族のスキンシップを求めても、それが叶わない境遇にいる。その彼の寂しさにメロはつけこんでいるのじゃないのだろうか?そう考えるとメロに腹がたってくる、そして不当な扱いを受けるニアが可哀想にも愛しくも感じられた。
「助けてやりたい…」
その時の俺はまるでおとぎ話の騎士のような心境だった。
生い茂るいばらを薙ぎ払い、塔に幽閉された姫君をいざ助けにゆかん!
ゲームのコントローラーではなく、俺自身のこぶしを握りしめ、今の俺には他人と自分の世界を遮断する煙草の紫煙もゴーグルの薄闇も必要ない!なんだって出来る!
そんな激しい高揚感に体が震えるのだった…!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺にはまったく探偵の素養はない…!Lの後継者コースなど明日にもやめよう!
自分の大勘違いと阿呆かげんに、またしても気づかされたのは、その日の晩早々だった。
ああもう!悔しい!腹が立つ!バカバカバカバカお人好し死ね!俺!
いや、あんなバカップルのために死ぬのは虚しすぎる…。
夜のとばりに覆われた、この細長い部屋。
カーテンを閉め切った隣のベッドは今夜もいかがわしく揺れている。だが、普段と違うのはアクロバティックな物音や苦しそうな嗚咽はなりをひそめ。
艶めかしいニアの吐息が空気を桃色に染めこぼれ続けている。
「あ…あ……!……!…あア…メロ…いい…気持ちいい…」
「ここ弄られるの好きだろ?」
「はい…あ…あ! いや…あ…ハア…」
「いいのか、悪いのかどっちだよ?」
問いかけるメロの声はこの上なく優しい。清らかなる少年のようだった。
「だって、舐めるなんて…」
「気持ち悪いか?」
「いいえ、いいです…すごく…でも」
「恥ずかしいだろ?ニア」
「だってそんな所…」
「今更だろ?」
「あ…!」
昼間のメロの冷たい視線を思い返した。
彼は俺に嫉妬していたはずだ、その怒りをベッドでニアにぶつけるだろうと考え、あまりに酷いようならカーテンを引き剥がし暴力的な情事からニアを救いだすつもりだったのだ。
しかし、メロは意外な事にニアを懐柔する方向に出たのだった。
長い長い前戯でニアの躯の隅々をついばみ、蕩けさせて、ギリギリに高め、甘い声を途切れることなく吐かせつづける、ニアの快楽の痺れが、床をつたって俺の寝床にまで届きそうだった。
「ああ…メロ、お願い…もう…」
「なんだ?僕にどうして欲しいの?」
「わかっているでしょう…意地悪しないで…」
「僕が欲しいって言って、ニアの口から」
「…ほ、欲しいです、メロが…い…挿れてください…は、早く。」
「あああーー!アッ、アッーー!」
待ちに待ったご褒美をニアの秘所は涎を垂らしてほおばっているようだ。液体と肉体がみだらな音を奏でベッドは小舟のように揺れる。
「ン…ンん、イイ…。いいです、き、気持ち良すぎる!…!あ、そんな奥…も、もっとお…メロ!」
俺のいたいけで哀れな姫君は肉棒を食い千切らんばかりに腰を振り、卑猥な咆哮を木霊させる、とんだ淫乱だった……。
「ジーザズ…」
低くつぶやいてみたものの、ニアの絶頂に掻き消され、彼らに届くことなどなかった。
饗宴の終了は、とうにシンデレラTimeを過ぎていた。いつものメロなら、終ったらさっさと引き上げるのだが、今夜は様子が違う。
腕枕でピロートークを繰り広げている。
「昼間はごめんな…」
「!」
「何?」
「メロが謝るなんて思ってもなかったので」
それは俺も驚きだった。
「僕をどんなヤツだと思っているのだよ!」
軽快に笑うメロの声が微かに響く。
「…………」
沈黙はキスを交わしているのだろう。
「ニア、キスが上手くなった…」
「メロのおかげ…ですね」
「あいつは…あいつとはしつないよな?」
「あいつって?」
「アイツだよ、ほら、マット。」
え!なんで俺にお鉢がまわるのよ!
「……?マットは女の子が好きみたいですよ?それも可愛い子が、そういう輪に積極的に入ってますよ」
おい、おい、おい!
「そんなの関係ないよ、ニアは特別だから…」
「特別?」
「……男とか女とか関係なく、特別可愛いからさ」
ニアは赤面しただろう、俺もした。
そしてまた長い口づけの吐息がもれる。
「僕だけだよな?」
「はい、メロだけです。」
「僕が好きだろ?」
「好き…好きです、メロ」
「ニア…可愛い…!」
俺の純粋無垢な騎士道精神はたった半日で木っ端微塵にされたようだ。
もはや、自分の馬鹿さ加減にも、はた迷惑な二人にも「呆れてものがいえない」を通り越し、すっかり虚無に達観している俺がいた。
くだんねー、アホくさい、やってられっか!好きにしろ!俺もする。
このハウスに来る前に誓っていたはずじゃないか、面倒には巻き込まれない、他人などに振り回されてたまるか、俺一人気楽に生きてやるって!
もう、イヤだいやだ嫌だ厭だ…!辛いのも苦しいのもゴメンだ…。
毛布を頭からかぶり呪文のように唱えるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「モーニン、リンダ。今日も可愛いね!」
「なによ、マット、プレイボーイみたい」
「ハハ今頃、気がついたの?」
「何言ってるの、早く座れば!」
カフェテリアの朝は今日ものどかだった。
俺はハードボイルドの玉子をスプーンの底で叩きひび割れた殻をもぐ…
玉子の中からは剥き出しの秘密が露わに飛びでる!
などと…いうことはない。
目の前にはつややかな白身が曲線を描き、それをすくうと、これまた、熱を理想的に通した黄身が太陽のように俺を待っていた。
「これが正しい日常の姿だよなあ」
「なんの話?」
「だからさ、朝ごはんの玉子の中から怪物が出てきたらどうよ?ゲームの中か他人事なら面白いけどさ、自分の日常にはそういう刺激いらないじゃん、素直にゆでたまご食べたいじゃん?」
「なによ、突然、マットって変わってるわねー」
リンダがマグカップを手に明るく笑うのを見ながら俺も玉子に続き焼きたてのクロワッサンを頬張る。上等のバターが舌にとろけ、それを薫り高いコーヒーで流しこんだ。
美味しい食事、朗らかなガールフレンド。これまた理想的かつ、常にこうありたい日常だ。
「ここいいですか? 」
ふいに後ろから声がする。
前方のリンダが驚いている、振り向くと朝食のトレーを手にニアが立っていた。
「お、おはよ…あ、席?どうぞ、横あいてるから。」
「ありがとうございます」
「めずらしいわね、ニアがカフェテリアに来るなんて…しかも相席してくれるなんて。あ!マットと仲良くなったのね!」
昨日の保健室の采配が功を奏したのだと、ばかりにリンダは満足気に目を丸くする。
「手当てをありがとうございます」
「あ、え?いいのよ、あたしに礼なんて、なんだか、いつものニアっぽくないわね」
「そうでしょうか?」
ニアは片手にミニカーをいじりながらもシリアルに白いミルクを注ぎスプーンで掬って食事を始めた。
彼がものを食べるのを初めてみる。
小さい手が器用に銀色のスプーンを操り意外な事においしそうに食べる。軽やかなその所作に俺は目を離せなかった…なんだか、今日のニアは特別…
「やっぱり、感じが違うわ、今日のニア、ごきげんな雰囲気だし…それに……きれい…」
口に出すのは憚られた俺の気持ちをリンダが代弁してくれた
そう、今朝のニアは格別に綺麗!なのだ。
頬は薔薇色で巻き毛はつややか、前髪に半分隠れていてもなお、黒い瞳が潤んでいるのがわかる。その輝きの理由はすぐ検討がつく…
『奥様ごきげんです事〜旦那さんが夜のおつとめガンバッてたものねー』
俺はなぜだかムカツキ、低俗なジョークを飛ばしてやりたくなった、しかしリンダがいるのでグッとこらえる。
「ねえ、なにかいい事あったでしょ?」スプーンを持つ手が止まった、ニアらしからぬ動揺をしているようだ。リンダの言葉が図星だからだろう。
「な、なにも無いですよ。女子にきれいと言われても、返しに困りますし」
「どうしてー!きれいは才能の一つよ、そうだ、今度の作品はニアをモチーフに描こう!」
「リンダも美術コースじゃ飛び抜けた才能らしいね」
「ありがとう、でもワイミーズじゃイレギュラーよ、なんと言ってもここはLを継ぐ者の養成が命題ですもの。あたしも憧れるわあ、世界の切り札、正義の味方!」
「正義かあ…」
「正義って…なんでしょうね」
ニアと俺の言葉が共鳴するように重なった。ゴーグルの端からニアを見る、彼もめずらしく俺に視線を返していた。
「正義って、玉子じゃない?」
リンダがまた突飛な事を言う、哲学だろうか?
「ほら、さっきマットがゆで玉子から怪獣が飛び出すのは自分の身にはおきて欲しくないって言ったでしょ、でも他人事でも気の毒じゃない?マットが今、モンスターに朝ご飯食いちぎられて泣いていたら、あたしも気持ち良くご飯食べられないもん。怪獣を収監し玉子を玉子に戻すのがLの仕事、すなわち正義というものじゃないかしら?」
「なるほどねえー」
リンダは優しいな。
「でも、モンスターにも事情があるかも知れないよな?」
トレーを片手に通り過ぎる細いシルエットがふいに俺たちの円卓に疑問符を投げかける。
逆光に透ける蜂蜜色の髪…
「メロ」
リンダが呼び止めるとメロは肩越しに振り向き3人に視線を向ける。
「そのモンスターは搾取され蹂躙され自由を求めて聖戦に挑んでいるのかも知れないぜ?」
メロは笑っているのか無表情なのか、良くわからなかった、彼はこちらの意見を聞く気はないようでさっさとお気に入りの窓際の席に歩を進めた。
光を象徴する金の髪と闇を現す黒い服、メロの外見はそのまま彼の内面を現しているかのように見える、単純なようでいて二面性を持ち、行動が不可思議だ。もしかしたら彼自身、そんな己を扱いあぐねているのかも知れない…おっと、人の事に首は突っ込まないと決めたはずだ、特に、この二人には。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
判関わらないと俺一人で決めたものの、それからもメロは足しげく夜這いをつづけ、聞きたくなくても今の二人が蜜月である事をベッド越しにアピールさせられるし、あの朝のカフェのように日中、ニアはよく俺に寄ってくるようになった。近寄ると言っても、別段邪魔をするわけではなく隣に座る位なのでキョヒるのもなんだし、そのままにしていると、ハウス内では二人は友達という事になっているようだ。
ワイミーズハウス1の天才でしかも変わり者のニアが認めるのだからマットはたいしたヤツに違いない。と俺の評は上がる一方、ロジャーも内気なニアが積極的に人に関わるようになったのは良いことだ、マットのおかげだとわざわざ呼び出して賞賛してくれた。
ベッドでのニアの積極的なおねだりを知ったら爺さんは高血圧で倒れるかも知れないなー。
一目おかれるようになった俺はいつまにか、Lの後継者候補の一人に数えられるようになった、俺はここに来て日が浅い事もあり、Lに対する崇拝のような感情はなかったのだが、選ばれし者というポジションは魅惑的で悪い気はしない。
ニアとメロもそういう関係のそういう二人だと割り切れば、深夜の騒音以外に害はない、全て日常になってしまえばなんの事はないのだ。
日常という名の砂で諸々を覆い隠し、サラサラと時が過ぎた頃。
Lがワイミーズと対話するというイベントが起こった。Lを目指すコースの生徒は浮足だし、俺もその朝は自分から身支度をしているニアに話しかけた。
「ニ、ニアどうよ?どうする?Lとなに喋ろう?すごい、本当にいるんだなLって!」
「…マットがそんなにLのファンとは知りませんでした」
「いや、俺も今日、この日を迎えて初めて知ったよ、なんてゆーの?Lって映画スターみたいなものだったの、自分の中で。すっごい有名だしー、セレブなんだろうけど、その映画観てないしなあーって思ってたけど、いざ、その人が目の前にいたら、うわー、生きてる、動いてる、嘘―!眩しい!って感じになるでしょ?」
「そんな経験ないから、わかりませんよ」
言の葉はクールだがニアは可笑しそうに微笑んでいる、……やっぱり……可愛いなあ…。
「ニアもLと話するの初めてなんだろ?緊張しない?楽しみでしょ?」
「それはもちろんですよ、彼はワイミーズハウスの人間の憧れですからね」
「彼?男なんだねLは」
「Lの年齢も性別も世界の秘密になっていますけどね、ここの出身者には噂で伝わってきてますよ、まだ青年で長身の男性だそうです」
「えー、まだ若いんだ、しかも背も高い、モテるだろうなあー、いいなあ」
「可笑しい人ですね、マットは」
世界最高の頭脳のLに向かってその感想は砕け過ぎだっただろうか?まあ、でも本心だし。
「マットといるとホッとします…」
俺の胸が波打った。
甘酸っぱいようなさざ波が心臓から鎖骨に伝わり出口をもとめて彷徨っているかのようで、もどかしい気分になり、それ以後は口をつぐみニアと一緒に部屋を出てゆっくりと午前の講義に向かった。俺を信頼して気を許してくれているのか…だから、いつもニアは俺のそばに来るのか。板張りの廊下が今日はゼラチンのように柔らかくて不思議な感触だった。
放課後のメインイベント、Lのトークショー(?)の会場は談話室で俺が到着した時には通信用のノートパソコンの周りはL志望の生徒が群がっていた。すでに正面のポジションは抑えられている。
音声だけでLのビジョンが見えるわけではないから、どこでもいいかー、と一人ごちると、こちらからは見えないが向こうはこっちを見ている。自分をアピールしたほうがいいよと声が上がり、横からでも身を乗り出してみる。
Lとの対話が始まり、皆、我さきにと質問を投げかけた、音声だけ、しかも声は変えているとはいえ、世紀の名探偵がこのモニターの向こうにいるのかと思うと興奮を隠せない。
しかし、ある発言で会場の空気が変わった。
「正義ではありません」
Lは探偵を趣味でやっている、正義心から悪人を捉えているわけではないと明言したのだった。みなの顔に困惑や失望が浮かんだ、ずば抜けた聡明さを持ち合わせてはいるが、まだ少年少女の生徒たちは憧れのLは真理であり正義であると信じていたからだ。
特にLに憧れていたわけでもない俺も動揺してしまった。本心なのだろうか?嘯いてみせたのだろうか?本音としても子供にそれを語るのは大人気ないし、なんのメリットもない。それとも、そういう計算や常識を度外視した子供っぽい人物なのだろうかLは?
しかし、そんなんで探偵できるの?
答えを探して周囲を見渡すと部屋の後方でニアとメロがモニターを冷たい目で見つめていた。
今の発言に怒っているのか?
それより、エキサイトしていて気がつかなかったけど、どうして、あんな後ろにいるんだ二人とも。
ニアはこの会を楽しみにしていたはずなのに、床にしゃがんでおもちゃで遊び半分だし、特にメロは性格からしても率先して前に前にLに質問攻めをしていくタイプに見えるから、輪から離れて窓辺に一人チョコを齧りながらLを睨みつけてるのは意外に思えた。
あんなに一番にこだわっているのは、それはLの座を狙っているからではないのか?
まあ、メロの行動はいつも意外なので、これが正しい姿なのかもしれない。
正義論の後も質問は続き盛り上がりはしたものの、終了後の生徒らは一様に引っかかりや疑問に囚われ所在なさげだった、対照的に時間内は鋭い目つきだったメロとニアの二人は何気に満足そうに見えた。共通点が少ないように見えて、この二人は似ているのだなあ。そう思うと色違いの双子のように見えてくる。
メロは前の扉、ニアは後ろの扉、別々にでも同じタイミングで部屋を後にしたのだった。
会からほどなくして、全世界が震撼する事件が勃発!キラ事件だ。世界の法で裁ききれない犯罪者が次々に死亡していく、泣き寝入りするしか術がなかった弱きものたちは、犯罪者を超人的な力で裁く者をキラと呼び崇拝しだした。
そこへLが警察側に参戦し、初戦を鮮やかに飾った。日本の関東地方で放映された限定映像をクラスの者が入手し放課後、モニタールームで視聴するために集まった。
Lはワイミーズのアイドルなので他の専攻の子供たちも押しかけて来る、リンダもだ。ニアはいつものように後ろのほうでうずくまっている。
録画のLの手腕は衝撃的かつ鮮やかなもので、俺たちは興奮を隠せない。今日のメロは最前列でチョコとモニターにくいついている。
「まさか、おとりの死刑囚をつかうとはな!手段を選ばないと言っていたが、やってくれるぜL!」
メロの大きな白目が青く光り生き生きと輝いた。
「Lは私が正義だと言った!どういう事だろう、この前は正義ではないと言ってたよね」
皆が口ぐちに議論する。
「わかんないのかよ」メロは鼻で笑う。
「絶対的な正義など存在しない、なぜなら法も正義も多数派が決めた事に過ぎないからな、だけどLの中には確たる正義が存在するんだよ、それを正義と取るか悪と取るかは各々の善悪観にゆだねられるという事さ」
「じゃあ、キラとLの相対だと自分が正義だと確信しての発言だね」
「そりゃあ、キラは無差別殺人犯だもん」
「Lってば…今までのLは知る人ぞ知る存在だったのに、こんな公に出てくるなんて…それだけキラが強敵って事かしら?だとしたらキラに正面切って宣戦布告するなんて危険だわ」
リンダはヒーローLが心配そうだ。
「Lは怪獣の事情に興味があって挑発してるのかもね」
俺の発言に金色の髪が揺れ、メロがこちらを見る。
「…ん?何?メロが前に言ったじゃない、悪逆非道の怪物にも事情があって悪い事をしているのかもしれないよな?って……」
「そんな事、覚えてたんだ… …お前面白いなマット」
彼の黒眼が少し大きく開いたように見えた。
生徒たちの喧騒がいつもでもおさまら無いので、さすがにロジャーが叱りに来る。メロはリーダー然として解散を呼び掛けた。
「お開きにしようぜ、キラはなんらかの超常的な能力を持っているのは確かだが限定的である事がLの仕掛けでわかった、キラは神でも悪魔でもなく人間だ、すぐしっぽを出しLが捕まえるさ!」
朗らかで高らか、彼はご機嫌だった。ふと、後ろを見やるとニアはロボットを抱きながらもその隙間からメロを見つめている、その目は恋人の瞳だった。自信満々のメロのたくましさにうっとりとしていたのだろう
しかし、メロの勘ははずれる事になる。
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